HOME > 人事コラム > ホットな話題コーナー

ホットな話題コーナー

 

「働き方改革-共創ワークショップ」への参加報告

2017年7月28日

株式会社 みのり経営研究所
 代表取締役 秋山 健一郎

 

7月7日掲題ワークショップに参加し、大変興味深いことに気づいたので、ここに紹介させて頂く。ワークショップの概要は下記サイトにある通りで、参加者同士のやり取りを通じた気づきの多い刺激的なものであった。
「共創ワークショップ働き方改革アクションプラン」http://bizteria.jp/ccw20170707

 

ワークショップの冒頭、働き方改革に関しての事例紹介ということで、弊社の実践している内容を説明させて頂いた。このコラムでも書かせて頂いている通り、「仕事で何を期待しているかの定義が出来なければ、生産性向上につながる働き方改革は出来ない」というみのりコンセプトの紹介であった。また出発点で何のための、そして誰のための「働き方改革」なのか、視点・軸足がはっきりしなければ、単なる飾り物の施策導入で終わってしまうと厳しめの指摘をさせて頂いた。私の頭の中にあったのは大企業の正社員の働き方で、「無限定正社員と言われる社員が上司に気に入られるために生産性とは無関係な働き方をしている」状況をどう変えるかという視点で議論を進める心積りだった。

ところが同じ事例紹介として登壇された方の中に、起業家の方が何人かおられ、その方々とのお話を通じて、日本にも大きな変化が起こりつつあることに気が付かされた。正社員の働き方改革が議論される中、実際の仕事の現場では既に大きく事態が変化しつつある。働き方は日々変化していて、さらに効果的効率的な働き方を求めて進化しつつあることを実感した。新聞紙上あるいは雑誌等で大企業の正社員を前提とした働き方改革が議論されているが、これから紹介する会社はその先にある姿を先取りしているように感じられる。

 

その会社名は「ユナイトアンドグロウ株式会社」。まだ社員数は150名程度だが、平均年齢34歳、男女比率は6対4。事業内容は情報システム活用に関する、人材と知識のシェアリングサービス。「シェアード社員」を標榜し1時間単位で専門人材を派遣、社員は顧客企業の社員になり切って働いている。ITによるビジネス革命によりクラウド型のサービスが台頭しつつある中、IT知識スキルを持ちかつビジネスを理解し経営マインドを持った社員(「IT総合職」と呼んでいる)が求められている企業のニーズに対応することで急成長している。ITベンダーに頼らず自社で対応することが、競争力の源泉であり、現に欧米ではITユーザー企業が「IT総合職」を採用・養成しており、その数は既にITベンダーの2~3倍に達しているとのこと。日本ではまだその規模には達しておらず、その採用・育成には時間が掛かることから、中間的な組織として同社が「シェアード社員」として、ITユーザー企業のIT総合職を提供している。

 

このビジネスの在り方にも興味があるが、ここでの主題はそのシェアード社員の働き方である。シェアード社員と呼ばれる方の多くは大手の企業のIT職として働くことは可能であるにもかかわらず、創業期の同社でこの働き方に嬉々として取り組んでいる。しかも離職率は4~8%とのこと。大手企業のIT部門での仕事と比較すると、自由度が高く、時間の管理から仕事の選択等々、さらには自分のキャリアパスまで自分で考えるのが当たり前となっており、管理志向の大企業とは全く異なっている。それぞれの社員は複数社を担当しており、それぞれの会社の「IT総合職」として活躍し、その経験を活かした仕事ぶりから顧客企業からの信頼が厚く顧客継続率は80%を超えている。こんなことをしたら社員がバラバラになってしまうという声が大企業の人事担当者からは聞こえてきそうだが、実態は全く逆で社員の一体感は強く、皆会社のミッションを意識し経営者意識を持って働いている。

 

『日本の人事部』発行の「人事白書2017」に「働き方」と題する章があり、その中で「リモートワーク・テレワーク・在宅勤務」に関する調査結果が出ている。導入した企業の約80%以上が従業員のワークライフバランス満足度向上に成果を感じているが、未だ本格的に導入している企業は20%に満たない。導入したが成果を感じられない企業のあげる理由が、興味深い。「生産性向上につながらなかった」「コミュ二ケーションが難しくなった」「部下のマネジメントが難しくなった」とある。これは大企業が働き方改革に取り組むときの姿勢を象徴している。会社主導で管理志向である。ところが同社は「コントロールしない経営」を標榜している。社員への信頼感が無ければできない経営であるが、同社の須田社長によれば「現場のことは社員が一番良く知っているのだから、社員の判断にゆだねる」と仰っている。「働き方改革」などということを今更言うまでもなく、社員は目の前の仕事に自発的に取り組んで成果を出している。そこに無駄は存在しない。大企業では「働き方改革」をやろうとすること自体が新しい仕事となり、長時間労働につながっている。社員の判断に任せたらよいのではないかと思われることも、会社として規定する方向で逆にますます管理志向を強めている。今回のワークショップで気が付かされたのは、あるべき働き方というのは「仕事を任された社員が、求められる結果を出すために、現場においてその時々適切な対応を模索・実施することを通じて築き上げるものである」ということであった。

 

そんな自由度の高い企業の求心力の源は何か?創業者である現社長の個性ということもあろうかと思うが、議論の中で須田社長が「Jobの言語化」がカギだと仰っていた。「人と組織と企業文化が当社の競争力」と謳われている中で、皆がミッションを意識し経営者意識を持って管理の少ない環境の中で前向きに進んで行けるのは、矢張りJobが言語化されていることが条件となって来る。これはみのりが創業以来訴えてきたことである。組織運営の基本はやはりその中心に社員のJob(仕事・役割)が明確に定義されていることである。今回のワークショップでは創業期の若い企業がそれを体現されていることが発見でき大変有意義な機会であった。

 

人事コラム一覧へ

 

 

みのりQ&A

人事用語集

みのり風土調査