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新年のご挨拶と2021年の展望



 

2021年が幕を開けた。昨年の年頭のご挨拶には「オリンピック・パラリンピックでの盛り上がること必定」と書いたが、コロナ問題の発生で全く様相が変わってしまった。同コラムではもう一点4月1日からの「働き方改革関連法としての新しいルールが相次ぎ導入される」こと、そしてその流れで「令和は日本企業のジョブ型雇用への転換元年となるのか?」との視点からその方向性に検討を加えた。結果としてはコロナの緊急事態宣言で在宅勤務・リモートワークが常態化し、期せずして「ジョブ型雇用」的働き方を導入せざるを得ない一年となった。日本的な人事管理の在り方の変革が叫ばれて久しいが、こんな形で多くの日本企業が本気でこの問題に取り組むことになるとは想像していなかった。

みのりは創立当初より「職務を基にした人事制度」の導入をお勧めしてきた。しかし多くの日本企業では「職務」に対する考え方が異なり、職務の明確化のための知識・スキルが蓄積されていないケースが多かった。そのため制度設計の出発点で「職務の明確化」の具体的な手法・進め方を理解して頂く時間を設けることが多かった。その経験を踏まえ、みのりでは毎年春と秋に「職務の明確化」に関するセミナーを開催し、その考え方、手法、進め方の解説を行ってきた。昨年は残念ながらコロナ問題でセミナーは中止・延期となってしまった。今年は何とか実施したいと考えていたが、緊急事態宣言が出され先行きの見通しが立たなくなった。リモートでの実施等検討したいが、その間このコラムを通じて概略の説明をしていきたい。

みのりのホームページに、職務に基づく人事制度の概念図を掲載しているが、人事制度の中心概念に位置付けられているのは職務である。機能的な組織を設計・運用しようとすれば職務を中心とせざるを得ない。典型的な日本的経営と言われるものの実態は、機能的組織というより共同体的な組織である。その中心概念はヒトである。人事制度の根幹をなす等級制度は、従ってヒトの等級作りからスタートする。ヒトの序列付けとも言え、職務に基づく人事制度がヒトではなく職務の序列付けからスタートするのとは根本的に異なる。

ヒトを中心概念とする組織においては、職務は二次的な位置付けとなり、職務はヒトが作るという意識が強くなる。職務を明確化する、あるいは定義するというインセンティブが薄れ、そのための手法・進め方が検討対象とならないのは理解できる。昨年からの「ジョブ型雇用」の重要性が叫ばれてから、「職務の明確化」に取り組まざるを得ない人事部は苦労せざるを得ない。次回より、そんな人事部の方々に参考になるような解説を試みたい。今年が人事の方々にとって良い一年となるよう、お手伝いしていきたいと考えている。

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