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執筆者の写真齋藤 英子

人口減少時代に人事部がなすべきこと


 

2014年4月1日付日経新聞「大機小機 人口減でも経済は縮小しない」で述べられているように、労働人口の減少はすでに始まっており、それが昨今、顕著に現れてきているそうである。この記事では、人口減でも労働生産性の上昇は可能であるが、成長力の強化も必要であり、そのためには、技術革新を促進することと、雇用システムの柔軟性を高める必要があるとのことである。

筆者も以前から、人口減少時代に必要な人事制度とは何か考え、折に触れ書いてきた。雇用システムの柔軟性を高めるための最重要な基盤は人事制度であり、その基盤を変革することが必要である。しかしながら、人事制度を抜本的に変えることは、なかなか難しいようである。世界で戦っている大企業の内の数社では、柔軟な雇用を可能とする世界基準の人事制度の必要性を認識し、導入しつつあるが、それ以外のほとんどの日本企業、とりわけ中堅中小企業では、まだその一歩が踏み出せていない。 人口減少時代が必要とする、柔軟な雇用を可能にする人事制度を構築するために、人事部は今、何をするべきなのか。

それに対する答えは一言、仕事を明確に定義することである。

仕事を明確に定義することによって、女性、高齢者、障がい者などの多様な人材を、人の属性に影響を受けることのない、仕事の出来栄えで評価することが可能となり、多様な人材に活躍してもらう制度を提供できる。また、仕事を明確に定義することによって、会社から期待されている仕事に応じた給与制度を構築することができ、人の属性によらない給与レベル決定ができ、多様な人材を受け入れることが可能となる制度を提供できる。

さらに、人の属性ではなく、仕事に基づいた採用、配属、そして単なる○○課長から△△部長へなどと言ったものでなく、仕事の内容を基にしたキャリアパスを提示することも可能となる。また、色々なライフスタイルに合わせた働き方も、仕事の設計をすることによって、どのような働き方にも対応できるようになり、多様な人材を受け入れることが可能となる。

ヒトに基づく人事制度では、採用、評価、給与額決定等、すべての場面で人の属性の影響から逃れることはできない。仕事を明確にすることで、柔軟な雇用を可能にする、仕事に基づく人事制度を構築し、多様な人材が活き活きと働くことのできる会社にすることこそ、これからの人事部に期待されていることである。それにはなんといってもまず、仕事の定義をきちんとすることである。なんとかこの第一歩を踏み出して、これからの人手不足時代にも元気な日本企業であってほしいと切に願うものである。


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