2013年1月に、みのりの10周年を記念して、ホームページを新しくいたしました。そして、3月に新しい企画として、「ホットな話題コーナー」を開設し、3月~11月まで全部で8本の記事を、秋山と齋藤で執筆してきました。
そもそも、このコーナーを作ろうとしたきっかけは、安倍政権が発足し、女性活躍推進や雇用制度改革を政策課題として取り上げたことにありました。ほぼ連日のように、雇用延長や解雇規制緩和、裁量労働制拡大等のテーマで、メディアがその進展を報道しました。
しかしながら、発表される内容を見てみると、どうも一番大切なところが見落とされていると感じざるを得ません。取り上げられるテーマに共通した、人事制度の基盤を素通りして、単なる個別の施策をどうするのかと言う議論になってしまっています。最も重要なことは、日本企業がこれまでの慣習に流されることなく、多様な人材を受け入れ、一人ひとりが活き活きと活躍することで競争力を高めることのできる人事制度を作り上げていくことだと、みのりは考えます。これを訴えていく必要があるとの思いで、このコーナーに1年間書き続けてまいりました。年の瀬に際し、その内容をここでもう一度、簡単に振り返ってみます。
まず、「雇用延長にとどまらぬ処遇改革」(2013.03.08)では、成長分野への労働力移動と雇用延長は関係がないこと、そして、人件費が増えることへの懸念に対して、これも雇用延長とは本質的に関係がなく、古色蒼然とした人事制度が原因であることを指摘しました。これを受けて、「雇用延長で人事制度の抜本改革を」(2013.09.24)で、若い人も、働き盛りの人も、高年齢の人も、誰もが自分の役割/仕事と、それを通した会社への貢献に見合った給与を得られる制度へ転換する大きなチャンスであることを指摘しました。
また、「『規制改革に関する答申』への疑問」(2013.08.01)においては、「正社員」などという実体のない概念にしがみつくのではなく、原点に戻り、社員の経歴や契約形態にかかわらず、組織の中の役割を果たしてもらう方向で人事を変えていくことであると主張しました。「『解雇規制緩和』は企業変革の障害」(2013.10.28)においては、現行法の規制の中でも、必要な人員削減は現実的に行われており、現時点では、解雇規制を緩和することはかえって日本企業が「日本型の殻を破った新しい経営」に踏み出すことの障害となると主張したうえで、現在の規制のなかでも新陳代謝が健全に行われている企業は、上司・部下の関係が正常に機能している会社であり、この部分を構築することこそ、求められていることであると主張しました。
そして、「グローバル化の中の人事制度」(2013.04.30)では、グローバル化に対応した人事制度の要点は、一人ひとりの仕事の明確化であり、これが日本の人事制度には致命的に欠落しているところであることを指摘し、「ダイバーシティを本気で推進するための3つのポイント」(2013.07.16)、「裁量労働制の拡大には、一人ひとりの仕事の明確化が必須」(2013.10.28)のそれぞれにおいて、ダイバーシティを推進してゆくためにも、裁量労働制の拡大のためにも、最も重要な課題は、社員一人ひとりの役割/仕事の明確化であることを主張しました。
そして、これらの主張の2013年の締めくくりとして、どのように役割/仕事を明確化するか、そのノウハウをセミナーで開示いたしました。
この1年間、色々な角度から、今、日本企業の人事制度にとって最も重要なことをお伝えしてきました。来年もまた、色々なトピックで、みのりの視点をお伝えしていきたいと思います。
1年間、ご愛読いただき、どうもありがとうございました。 どうぞ、良いお年をお迎えください。
Comments