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【第2回】組織とは何か


 

人が集まり何かをやろうとするとき、集まった人たちが効果的・効率的にことを成し遂げるための仕掛け・仕組みが必要です。その仕掛け・仕組みが組織です。組織というと大人数の人の集団を考えがちですが、少人数でも同じ課題が持ち上がります。誰が何をやり(分担・分業)、他の人との連絡・調整をどうするか(協働)?さらに利益追求が目的であれば、その分け前をどう分配するかという問題も考えなくてはなりません。教科書的にいうと使命・目的、構成メンバー、構造、各種制度、行動ルールなどが組織の構成要素としてあげられます。さらに戦略、風土、スキルといったものが加わることもあります。これらを整合的に考えることにより、効果的な組織が設計されると言われています。しかしこれらの要素を個別に考えて行くことは大変な労力と時間がかかる気が重いテーマです。

経営者の視点、あるいはそれを支える人事責任者の視点から言えば、その組織の構成メンバー一人ひとりが生き生きと組織の目指す方向に向かって働き、経営者の思いが実現に向かっている状態こそが、良い組織の目的とする姿です。それぞれの構成要素に整合性が取れているということは、経営者がやろうとしていることがそれぞれの要素に反映されているということです。経営者としての思いをどう伝えていくかが組織設計の原点であると言えます。言い換えれば組織とは経営者の思いを実現するための仕掛け・仕組みです。その思いを離れて、組織という実態が別にあるわけではありません。構成メンバーである社員はその整合性に敏感であり、率直です。彼らの行動が経営者の期待にそぐわないとしたら、それはメッセージの伝わり方が間違っているからです。

経営者の思いを出発点として組織が設計されると、その思いと構成メンバーを直接つなぎ、整合性の核となるのはメンバー一人ひとりに与えられる役割であり仕事の内容です。経営者の思いを実現するために、彼ら一人ひとりに何をして欲しいかが明確に定義されている状態が組織の設計された姿です。少人数の組織でも、一人ひとりが経営者の思いを自分の仕事として理解するのはそう簡単ではありません。その思いが中長期的に一貫性を持ち、一人ひとりの仕事に反映されている状態を維持していくには、大変な努力が必要とされます。大規模な組織の場合はさらに、一人ひとりの役割に落とし込む前に構造上の問題に取り組まなければなりません。広大な事業領域の中で一人ひとりの役割が効果的・効率的に進められるための適切な構造が選択・設計されるのです。構造が決まった後にはやはり、構造上の単位の中の一人ひとりの役割が特定されなくては、思いは伝わりません。その他の様々な組織の構成要素は、その思い伝達のための補完的な要素と言えます。人事制度も、経営者の思いの実現を支えるかどうかが制度設計の良し悪しの判断基準となります。

組織には目的により様々な分類があります。この稿では便宜上民間の営利を目的とした企業・会社組織を対象とします。公的組織や非営利組織も基本的には同じ考え方が適用されますが、利益向上や利益配分に関する議論は別に進めた方が理解しやすいと考えられるため、特別に注記しない限りこれからは民間の営利を目的とした企業組織を念頭に議論を進めていきます。

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