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執筆者の写真齋藤 英子

【第1回】社員が気持ちよく働ける人事制度の、人件費管理はどうするの?


 

2007年10月から2008年7月まで、「人事制度は世につれ、人につれ」で今の日本に必要とされている人事制度とはどのようなものかを、10回にわたってお伝えしてまいりました。それは、一言で言えば、「経営戦略と直結し、かつ社員一人ひとりが生き生きと気持ちよく働くことのできる制度」でした。

私たちは色々な企業の方々とお会いし、人事制度改革をお手伝いさせていただいております。そこでは、まず新人事戦略をご一緒に考えてゆくことから始めることが多いのですが、その討議の中でいつも驚くのは、そもそも総人件費管理をしていない企業が多いことです。従って、新しい人事戦略には、総人件費に関連する以下のような方向性がしばしば打ち出されます。

・事業計画と整合性の取れた人件費レベルを実現する

・付加価値創造に対応した人件費レベルを実現する

・目指す給与水準を確保できる人件費管理を実現する

・総人件費枠を考慮した全社人員計画を策定する

経営としては、総人件費管理をしてゆきたいのだが、これまではそれができなかった、だから、新しい人事制度では、ぜひとも総人件費管理のシステムを入れたい、とおっしゃるのです。

それでは、総人件費はどう決定し、どう管理するのが良いのでしょうか?前回の連載では、今の日本に必要な人事制度の全体像を検討してきました。そして、その全体像が入れ物として見えてきたと思います。そこで今回からは、経営戦略と直結し、かつ社員一人ひとりが生き生きと気持ちよく働くことのできるという趣旨に沿ってこの人事制度を運用していくためのソフトの部分について、具体的に検討してゆきたいと思います。

ソフトに関する最初の連載として、「これからの日本に必要な人事制度における、あるべき総人件費決定の仕組みとはどのようなものか」という課題に対しての答えをだすべく、10回にわたって考察してゆきたいと考えております。

次回は、まず、「あるべき分配構造を探す」ということから入っていきます。そこから、回を追って、具体的な方法論に展開してゆきたいと思っています。

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