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【第7回】総人件費管理のための、あるべき分配モデルを構築する


 

前回は、総人件費管理の観点から、付加価値構造の目指すべき方向を設定しました。今回 はこれを条件として付加価値構造を算定し、検討を重ねたうえで、当社のあるべき付加価値 構造モデルを構築します。

前回の目指すべき方向に基づくと、付加価値構造モデルの算定条件は以下の通りでした。

付加価値率        35% 売上高          300億円 付加価値経常利益率    43% 労働分配率        30% 1人当たり人件費      900万円

上記の算定条件で付加価値構造を算定した結果は以下の通りです。



この結果を見ると、企業維持費率が現状の20%から27%に増加しています。これはモデルの 労働分配率が現状より10%低く、経常利益率は経営計画に基づいて現状より3%高くなって いるためです。また、モデル算定結果では従業員数が350名となっています。この会社の現在 の従業員数は400名なので、人員削減と言う算定結果になってしまいました。

さて、ここで当社として、これでよいのかと言う検討に入ります。より分かりやすくするために現状と比較したグラフをチャート1に示します。現在の企業維持費(コスト)は20%と、非常に筋肉質の経営となっていますが、それを上げてゆく必要があるのかを検討します。そこで、例えば、教育費が足りていないなどの問題点が見つかれば、その為の費用をかけてゆこうという結論 になるでしょう。また、別段の問題が無ければ、企業維持費率は今のまま、つまり20%でいこうと言う結論になりえます。企業維持費率を20%のままでいくという結論になれば、経常利益率は経営計画で与件となっていますので、自動的に労働分配率が上がることになります。

また、もう一つの点として、人員を400名から350名に削減するのかと言うことです。これは会社の方針に基づいて決めていただくことになります。筆者のコンサルティングの経験の中では、現在の人数は余剰だから減らすという企業もありましたし、反対に人員削減だけはしない、という企業もありました。もしも、人員数を何名という算定条件とし、1人当り人件費も900万円が外せないという結論であれば、人件費枠は自動的に算出されますので、労働分配率も決まることになり、企業維持費率も自動的に決まることになります。これらのことを考慮して、算定条件を5つ指定することになります。

チャート1: モデル付加価値構造の初回算定結果と4社の現状


さて、検討結果が出たところで、それを新たな算定条件として、当社のあるべきモデル付加価値構造を再算定します。例えば、検討結果として、人員削減はせず現在の400人を維持する、という結論が出たとします。その場合には、モデル算定条件は以下のように変わります。

付加価値        35% 売上高         300億円 付加価値経常利益率   43% 従業員数        400名 1人当たり人件費    900万円

この条件で算定した結果は以下の通りです。




人員を400名としたので、労働分配率が最初の設定の30%から34%に増えていますが、それは企業維持費から捻出されています。人を削らないために会社として企業維持費を圧縮したということになります。つまり、人員は400名で維持した上で、中期経営計画の売上、利益を達成しつつ、社員の給与は900万円を実現するというモデルになりました。これを当社のモデル付加価値構造と決定すれば、これが当社の総人件費管理の基礎となります。このモデルに従って人件費をコントロールしてゆけばよいことになります。

以上で、当社の総人件費管理のための、あるべき分配モデルが構築されました。この分配モデルは長期的な到達点です。例に示している当社の場合には、中期経営計画の最後の年である2015年の到達点となります。そこで、毎年の総人件費管理のために次に必要となるのは、このモデルへどのような道筋で到達するかという、毎年のシナリオを策定することです。次回はこのモデルへの到達シナリオの策定を見てゆきましょう。

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