top of page

【第4回】他社の付加価値構造と比較する


 

前回は、控除法を用いて、自社の付加価値構造を見つめてみました。しかし、自社だけの付加価値構造では、判断がつきかねます。そこで、自社の目指している企業や競争相手と目している企業の付加価値構造と比較して、自社の強み、弱みを分析することになります。

まず、自社の経営戦略に基づき、比較すべき企業を2~3社、決めます。ただし、それらの企業の付加価値分析をするので、財務諸表が手に入る企業を選択することになります。少なくとも、損益計算書とその付属書類、社員数に関するデータは入手できることが必要です。有価証券報告書があれば、外部からの分析のデータとしては十分です。

データの入手ができたら、次は、各社の付加価値分析を実施します。ここで大切なのは、 ①どのレベルの人件費を見たいのかを社内で定義しておくこと、 ②同じ基準で算出すること、 ③どの項目をどう算定したかを明記しておくことです。

①どのレベルの人件費を見たいのかと言うことですが、人件費には大きく分けて三種類あります。(1)狭義の人件費:給与賞与手当、(2)広義の人件費:狭義の人件費に法定福利費や福利厚生費を含めたもの、(3)超広義の人件費:広義の人件費に教育訓練費・採用費などの人に関する間接的な費用も全て含めたもの。総人件費管理の対象として、どの人件費を対象とするかを社内で定義しておきます。一般的には、(2)の広義の人件費を採用することが多いのですが、給与賞与手当に特化してコントロールしたいという企業の場合には、(1)の狭義の人件費を対象とする場合もあります。

次に大切なことは、②同じ基準で算出することです。各企業の損益計算書およびその付属書類を丹念に見ると、少しずつ記載の違いが見えてきます。例えば、売上原価明細書の機器・資材費に関して、機器経費と資材費が別々に記載されている会社と一緒になっている会社があったりします。通常、機器経費は企業維持費、資材費は外部購入価値とするのですが、別々に記載されていない会社に関しては、そのようにできません。この場合には、二つの選択肢があります。一つは、各対象企業とも、機器経費と資材費はまとめて外部購入価値とするという決定。もう一つは、別々に記載されている会社のみ、機器経費を企業維持費に含めるという決定。これは、どちらかに会社として決めて、決めたら、一貫性をもって行うということです。そして、③どの項目をどう算定したかを明記するということで、どちらの決定にしたかを書いておけば問題ありません。

このようにして、全ての会社の付加価値構造が出ました。



上記の棒グラフは当社が、競合企業A社~C社の3社を選択して、付加価値構造を算出した結果の例です。当社だけで見ると、利益率がかなり良いように見えたのですが、他社と比べてみると、3社の内2社はもっと利益率が高いという状況が見えてきました。

次回は、このようにして算出された他社の付加価値構造との比較をする際のポイントを述べたいと思います。

コメント


bottom of page