ジョブ型人事が機能しない本当の理由 --制度設計に職務設計の視点が欠けている--
- 秋山 健一郎

- 14 時間前
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5月に弊社ホームページ(HP)にて、二人の著名な人事専門家の日経新聞への投稿に対する疑問点を率直に指摘させて頂いた。ジョブ型と言われる人事制度の基本に関する議論が欠けているという指摘である。興味のおありの方は弊社HP「人事コラム」をご覧頂きたい。
人事の基本は会社の目的とするビジョンなり使命を達成するために、有能な社員を採用・育成・配置し、前向きに目標に向かって邁進できる環境を整えることである。人事制度はそのための手段であり、会社のビジョン・ミッション達成のための経営戦略に即して社員をどのように処遇するかを体現する仕組みである。経営戦略と無関係に人事制度がある訳ではない。前出の記事で触れたのは、その基本である経営戦略に基づく人事・人事制度設計という視点が欠けているということであり、人事制度設計の出発点としての職務設計という概念が欠落しているという点である。
職務設計は、経営戦略に基づいて人事制度を設計・運用するための出発点であり、経営戦略と人事をつなぐ結節点である。人事あるいは人事制度が経営戦略に基づくということは、「経営戦略→組織設計→職務設計→人材像構築→人事制度」という流れが整合的に構築・整備・運営され、社員が安心して職務遂行に邁進できる体制が整っていることを指す。その出発点である職務設計が忘れられていることを指摘させて頂いた。
日本企業の人事関係者の多くが、組織設計は人事とは無関係という意識の方が多い。しかし組織を経営戦略に基づき動かしてゆくのは社員であり、その社員が前向きに仕事に取り組んでゆけるように、公正な処遇を司るのは人事である。組織設計を単なるマクロ的な構造上の名称だけで作りあげることは組織設計とは呼べない。
それぞれの構造上の役割一つ一つの業務内容・果たすべき責任が明記され、そこに配置される社員がその職務内容を理解し、それを遂行することによる処遇内容を理解して、初めて組織は効果的に機能する。人事が関与するのはまさにそれぞれの職務内容を出発点とした人事制度を構築し、その趣旨に基づき運営して初めて、人事が本来の目的を果たすことになるのである。
一般的には経営戦略・組織作りは経営企画などのスタッフ部門が司ることが多い。人事がそこに深く関与することは一般的ではないかも知れない、しかし上述したような仕組みを理解していれば、組織設計と無関係に人事のあるべき姿を実現することは不可能であることが分かって頂けると思う。「人事が全社各部の末端の仕事の内容まで把握できない」というコメントを頂いた。経営戦略のためにどのような組織設計をするかというレベルでの関与は難しいとは思うが、社員の適切な評価が行われるためには、少なくともその組織が目指す目的・成果が何であるかを理解せずに、公正な評価はあり得ない。
公正な評価の出発点は具体的に書き表された職務内容なのである。評価制度がうまく行かないという声は、従来の職能資格制度においてもよく言われていたことであるが、ジョブ型と言われる制度を導入した企業でも、相変わらず同様な不満が聞かれるのは、その基準となる「職務」の内容が曖昧であることが多い。人事の視点から組織設計の趣旨に則った職務設計が行われていないことが原因であることが多い。人事制度の基盤としての職務、評価基準としての職務という視点を持つ人事の専門家としての目が、結果として経営戦略に基づく効果的組織設計への道を開くともいえる。
職務設計とは何か?疑問に思われている方も多いようですので、説明会を企画中です。詳細は9月10日に弊社HPと同時に人事関連サイトに告知する予定です。興味おありの方は是非参加してみてください。
