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  • 執筆者の写真齋藤 英子

「ホットな話題コーナー」2016を振り返って


 

2013年にみのりの10周年を記念して開設した「ホットな話題コーナー」も丸4年となりました。安倍政権が発足して、女性活躍推進や雇用制度改革を政策課題として取り上げたことが、このコーナーを立ち上げた大きな理由でもありました。それから4年間、安倍政権は日本では珍しく長期政権となり、日本の雇用改革も2016年では働き方改革に成長してきています。

みのりは、設立当初から、「だれもが活き活きと働くことのできる人事制度」を旗印に、役割を基にした制度の必要性を叫び続けてきました。安倍首相も今年に入り、「同一労働同一賃金」に本腰を入れ、12月20日にはガイドライン(指針)案を発表しました。非正規社員への賞与の支給など、格差是正に向けた方向となっています。

しかしながら、賃金で大きな比重を占める基本給に関しては、これまでの「ヒト」を評価し、「ヒト」に支払うという思考形態から全く抜け出さないでいます。つまり、「同一労働同一賃金」ではなく、「同一人間同一賃金」なのです。

これであれば、日本の多くの企業は賃金体系を変える必要もなく、「ヒト」をどのように評価するか、より一層精緻に作りこんでゆく方向に進むでしょう。これは、日本企業がこれまでずっとやってきたことで、格差是正より格差容認の基礎を与えてしまうようなものです。

みのりは2016年も、3月の「女性活躍推進法を業績向上の機会に」を皮切りに、4月には「同一労働同一賃金を考える」、6月には「正社員改革こそ本道か?」等、計8本の記事の中で、如何に今の日本企業にとって、きちんと仕事を定義することが大切なことかを述べ続けてきました。

多様な人材が、多様な働き方で、活き活きと働き、生産性を向上して会社に貢献する。これを現実のものとするには、まず人事制度を変え、仕事を明確に示し、その仕事の出来栄えで評価し、その貢献に報いること。そもそも評価することのできない「ヒト」の能力を、評価できるとし、結局は相対評価で「あの人はこの人よりできる」という結論をだす。これまでの日本企業であれば、それでもみんな、なんとなく年功序列で、なんとなく少しずつ上がってゆき、無事会社人生を終了して、楽しい年金生活に入るということだったでしょう。しかし、すでにその時代は終わり、色々な人が色々な形で働くようになりつつある今、「なぜ私の評価はこうなのですか?」と問われて、あの人よりは上で、この人よりは下などと言う説明は有りえません。

この4年間の安倍政権による少しの進展と、いまだ変わらぬ日本企業の思考形態、そしてそれが生み出す企業風土を目の当たりにして、2016年を終えることになりました。

来年は、日本の人事制度にとってより良い年でありますよう祈りつつ、筆をおきます。

本コラムをお読みいただいている皆様へ、2016年もありがとうございました。 どうぞよいお年をお迎えください。

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