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  • 執筆者の写真齋藤 英子

【第2回】あるべき分配構造を探す


 

あるべき総人件費をどう決定するか? これに対する答を一言で言ってしまえば、経営と社員が生み出す付加価値の、あるべき分配構造を見つける事です。そして、それを明確に社員に伝え、その分配構造に向かって、経営と社員で力を合わせて仕事をしてゆく。それでこそ、経営に直結した人事制度であり、かつ社員も頑張って付加価値を増大すれば報われることで、生き生きと気持ちよく働くことができる制度と言えるでしょう。

あるべき総人件費決定の仕組みの全体像は、①自社のあるべき分配構造を探し、②その構造への到達シナリオを作成し、③それに基づき毎年の総人件費レベルを算定する、という流れになります。

それでは、①の付加価値のあるべき分配構造をどうやって探すのか?これについて、これから4回に渡って詳しく述べてゆきたいと思っています。本稿では、このテーマの全体をまず俯瞰してゆくこととしましょう。

自社のあるべき分配構造を探すには、以下の4ステップが必要です。

  (1) 自社の付加価値構造を見つめる   (2) 他社の付加価値構造と比較する   (3) 目指すべき方向を設定する   (4) あるべき分配モデルを構築する まず、自社の付加価値構造がどうなっているのかを確認し、その上で、競合企業や目指している企業の付加価値構造を同じ計算方法で算出して、比較分析します。これにより、自社の強い点や弱い点が手に取るように分かってきます。ここで、企業の担当者から良く出る意見が、付加価値の計算は、その計算方法やデータの取り方によって大きく異なってくるので、会社の本当の付加価値を計算することは大変困難なことである、と言うものです。大変精緻に考えられて、いい加減なことはできない、というお考えかと思います。でも、そうすると付加価値分配に基づいた総人件費管理ができません。ですから、私たちがお奨めするのは、ある計算手法に決めて、データのとり方を同じ基準にして、あまり細かいところに拘らずに、とにかく同じ土俵で計算したもので付加価値を出して、付加価値分配に基づいた総人件費管理をすることです。もちろん、企業風土や方針に基づかれて、皆さんはどちらかをお選びになられるのだと思います。私たちは、この方法が、経営にも社員にも良いと確信していますので、これからご紹介してゆこうと思います。全体を理解していただいたら、数値の細かいところはあまり大きな意味を持たないことがお分かりいただけると思っています。

次回は、(1)の自社の付加価値構造を見つめるとは、どうするのかというお話をしてゆきます。その中で、まずは、そもそも付加価値はどういう構造をもっているものなのか、と言うところから紐解いてゆきたいと思っています。

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