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  • 執筆者の写真秋山 健一郎

2014年午年の幕開けに当たり


 

明けましておめでとうございます。

2013年はみのり創立10周年を節目として本格的な情報発信を始めた年でした。今年も継続して、みのりの視点から見た企業経営の世界での様々な動きに関する情報発信を続けて行きたいと考えています。

1月5日付日経新聞には早速興味深い記事が二つ出ていました。まず一面に「正社員と同じ仕事のパート 有期雇用も同待遇に」(厚生省方針)と題し「現行のパートタイム労働法ではパート従業員の賃金等待遇面で正社員と差別してはならない条件として【1】正社員と仕事内容や責任が同じ、【2】人事異動がある、【3】「契約期間が無期」の三条件あり。その中で【3】「契約期間が無期」を今回の改正でなくすとのこと。【2】の条件はまだ残るものの大きな前進と評価したい。今やパートタイムと言えど会社の重要な戦力となっている従業員に、正社員でないという理由だけで差別する理由は全くない。この点は昨年のコラム「規制改革会議『規制改革に関する答申』への疑問」にても触れましたが、着実に良い方向に進みつつあると言えます。

次に「中外時評 会社に縛られない働き方 個人の視点で雇用改革を」。「社員を雇い続けるかどうかについて、企業の裁量をもっと広げて欲しい」との経済界の声に対して、「働く人自身が、このまま同じ会社にいて自分の可能性を摘んでしまわないかと考える社会を目指したい。長期雇用に守って貰おうという人々の意識が切り替わった時、この国は変わるはずだ」と働く人に軸足を置いた議論を展開しています。そして「他の仕事に移り易い環境づくりが進めば、会社に縛られまいと考える人たちは次々に動き始めるだろう。解雇を制限するルールがそのままでも、現実が規制を乗り越えていく」と締め括っています。この「現実が規制を乗り越えていく」という表現が気に入りました。規制は環境変化により障害となるかも知れませんが、現実の仕事と向き合っている人たちはその中でより良いやり方を工夫しているものです。パートタイム従業員は、差別された条件の中でも持てる力を発揮し、戦力としてなくてはならない存在となった。だからこそ、規制が後追いで変わって来たのであって、決して逆ではない。

「規制撤廃」はこの閉塞状態の中で、万能薬のような響きを持っています。しかし規制撤廃が実現した後の世界で勝ち残れる企業とは、規制のある状況下でも既に業績の良い企業ではないだろうか?政策の議論としての「規制撤廃」は意味のあることだと思います。しかし困難な状況の中で生存をかけた戦いを遂行している企業経営者は、規制を変えさせるような新しい現実を作り上げることが求められている。新春の新聞を見ながらそんなことを考えました。

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