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  • 執筆者の写真秋山 健一郎

【第1回】大会社のマネをしてはならない


 

もしあなたが中小企業の社長で、その会社をさらに大きくしたいと考えているなら、

大会社のマネをしてはならない。


多くの大会社といわれる企業は近代的な経営に基づく企業とは言えません。

江戸時代の身分制の思想を色濃く残した共同体ともいえる組織が多く見受けられます。内部の組織・制度は、経営トップも含めた共同体の論理で動く構成員処遇のための仕組みに過ぎず、事業遂行のために設計されたものでない場合が多いのです。

人事制度も事業戦略などとは無関係に構築され運営されています。新卒一括採用で入社させた大量の社員を、長期間かけて選別・篩い分けていくのが最大のテーマなのです。そんな制度を真似ていたら、中小企業はあっという間につぶれてしまいます。

中小企業は一人一人が戦力です。長期的な選別などと贅沢なことなど言っていられません。社員が優秀だとか優秀でないなどというのは、大会社でよく見られる議論です。じっくりと問い詰めていくと優秀か優秀でないかの判断基準が極めて曖昧なことに気が付きます。中小企業ではそこに居る社員一人一人が財産であり、力の出せない社員がいればその人たちを戦力化し業績向上につなげるのが経営者の責任です。

人事の仕事はその意味で経営そのものと言えます。大会社のように人事部に任せる仕事ではありませ。一人一人の社員に、経営者としての方針を伝え、理解してもらい、結果を出すために最大限の力を出してもらわなければ経営は成り立ちません。そのための施策としての人事制度は人事部に任せ切りで済む問題ではないのです。

文芸春秋並びに月刊現代の11月号に富士通の成果主義人事制度導入に関する記事が出ていました。成果主義を標榜して1998年に導入した新しい人事制度は結局不発に終わったようです。新制度導入にもかかわらず2001/02年業績は1000億円を超える赤字で、2万人に及ぶリストラに踏み切り、2002年に社長は会長職に。まだ業績の本格回復は無いようですが、制度はそのまま、それを決断した経営陣も人事部もそのままの体制が継続しているようです。余裕のある大企業ならではの制度改革です。

何が問題なのでしょうか?どうやって経営に直結した人事制度が出来るのでしょうか?これからこのコラムで様々な制度をどう設計・運営していくかを紹介をして行きたいと考えています。

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