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【第13回】ダイバーシティー・マネジメントの締めくくり


 

今年に入り、年度末に向けての制度改定の案件が重なり、連載の続編を書くのが遅れてしまいました。年度も変わりましたので、そろそろこの稿も締めくくりたいと思います。長い間お読み頂きありがとうございました。

前回ダイバーシティー・マネジメントを支える人事制度のあり方について触れました。人事制度に関しては齋藤英子が「人事制度は世につれ、人につれ」で少子高齢化、安定成長の時代が要請する新しい人事制度がどのようなものであるか、昨年一年間説明をしてきました。興味のある方はそちらをご覧ください。そこでのキーメッセージは「経営に直結し、かつ社員が生き生きと気持ちよく働くことの出来る人事制度」がこれからの日本で必要とされる人事制度であるということでした。

ここで想定されている社員とは、男性中心の年次管理された同質的な社員ではありません。様々なバックグランドを持つ多様な人材としての社員です。経営とはそのような多様な人材を活用して、事業の目指す目的を達成することです。企業経営にとって人材確保は最大の関心事です。しかしこの稿で述べてきたように、「人材」とは何か、その定義は大切です。言われたことを忠実に実行する社員だけでは経営は成り立ちません。社員一人ひとりの違いにこそ、経営を支えるパワーが秘められています。その違いを認識し活用していくことがこれからの経営には強く求められます。個々のレベルでその違いをどう活用していくかが、本稿のテーマでした。そして人事制度はその個々のレベルでの違いの活用を支えていくものでなくてはいけません。

「社員一人ひとりが生き生きと気持ちよく働くことができる」原点は、社員一人ひとりの違いを認め活用していくことの出来る上司の存在が不可欠です。既に多くの企業でそのような管理職が活躍しています。伝統的な大企業で同質的な集団の中で育ってきた管理職にとっては、難しい課題かもしれませんが、本稿で述べてきたような点に気をつけて日々の課題に取り組んでいただければ、必ずや多様な人材を活用できる管理職への脱皮が可能となります。そしてそれがこれからの時代を生き抜く企業の力となっていきます。

本年度からは新しいテーマでの連載を開始したいと考えています。昨年度までは経営の基本としての多様性の活用と人事制度のあり方をテーマに連載を続けてきました。その延長線上として本年度からはもう少し具体的に人件費あるいは組織設計というテーマで連載を始めたいと考えています。

さらに弊社の海外におけるパートナーであるUniversity of Texas at DallasビジネススクールのAcademic DirectorであるDr. Padmakumar Nairにも執筆してもらうことを考えています。日本企業にも造詣の深い同氏から見た日本企業の経営についての連載です。

みのりも既に5周年を迎え、新たな飛躍に向かって歩き始めました。日々の活動を通じさらに精進を重ね、皆さまのお役に立てる情報をこれからも発信していきたいと考えております。皆様の引き続きのご支援を賜りたく、よろしくお願い致します。

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