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Secrets of Human-Capital Management 【September 2014】

The Balance of Evidence(抄訳)

 

証拠のバランス

By David Creelman

 

証拠に基づく経営(Evidence-based Management、EBmgt と本稿では略す)のリスクの1つは、良いアイデアを持っていても証拠を揃えることに長けていない人々が、データを盾にとる人々に鼻であしらわれるようになることです。誰かが新しいこと、例えば、新タイプのマーケティング・プログラムの展開や、HR構想の立ち上げや、工場設備の再配置を始めたいと考えたとき、懐疑的な人々から「それがうまくいくという証拠はあるのか」と追求を受けるのは、想像に難くありません。
時間と資金を投資して新しいことを始めるときに、証拠を求めるのは正しいことです。しかし、証拠を求めることがどれだけ理にかなっているかをよく考えてみましょう。手厳しいアナリストが新しいアイデアをことごとく押しつぶし、何もすることができないうちから、うまくいくことを完璧に証明せよ、と次から次へとハードルを設定するシーンを想像してください。
論点はここです。私たちは、証拠に基づく決定を求めるカルチャーを必要とする一方、官僚主義やリスク回避に陥らないカルチャーをも求めています。


証拠に基づく経営の面白さ
デニース・ルソー博士と私は、EBmgt を実践するグループを指導していて、最高にうまくいったとき、EBmgt は面白いということを、観察から知りました。「証明せよ!」という考え方は、EBmgt の精神とは正反対です。むしろ、EBmgtは、質問と仮説の世界です。ここでは、「このことから何がわかるか?」、「この良いアイデアが正しいかどうかを知るには、どのようにしたら良いか?」が論じられます。例えば、「出納係のトレーニングを増やせば、客の苦情は減る」という仮説を立て、次に、その仮説が正しいか間違っているかを調べます。
EBmgt は、問題解決のための面白い取り組みです。EBmgt が正しく実施されるということは、費用対効果を考えるということではなく、アイデアを検討し、どちらのアイデアが証拠によって支持されるかを見出すことです。


証明ではなくバランス
「地域の慈善活動のために、社員が休みを取りたいと言ったとき、これに投資利益があることを証明できるか?」。これは間違った質問です。正しい質問は、「優位な証拠は何か? 慈善活動を認めるか、認めないかの2つの選択肢のうち、より良いと思われるのはどちらか?」です。重要な点は、言い分を主張するのではなく、先入観なしに証拠に基づいて、選択肢を検討するということです。


EBmg における重要で、かつ見過ごされやすい原則はこうです。『証拠がないのは、ないということの証拠ではない』。あなたは、「開けやすい包装は売上を増加させる」ということの証拠を持っていないかもしれません。しかし、証拠がないからといって、あなたはそれに基づいて意思決定できません。あなたは、開けやすい包装と、開けにくい包装についての証拠のどちらに優位性があるかに基づいて選択しなければなりません。


では、証拠がない場合はどうするか? 我々の実践グループのメンバーは、調査して掘り下げることでこれに対処しています。彼らは、学術論文や自分たちのデータ、あるいは他の人々の経験から何を見つけられるかを探します。彼らが頼るものは論理的な議論と概算です。可能な場合には、彼らはデータを集めるためのパイロット調査を実施します。彼らは問題を探究し、調査し、そして問います。「証拠のバランスはどこにあるか?」


まとめ
どのようなすばらしいものにも、弱点があります。EBmgt の弱点は、遊び心のある探究の精神を失った人々です。官僚主義を生み出すことや、新しいアイデアの締め出し、斬新なやり方を追求する人々をたたく口実にEBmgt を利用させてはなりません。適切に実施されるとEBmgt は面白く、知的興味を刺激し、何より人々を協力させる良さがあります。 EBmgt は、比較的新しい考え方です。間違った方向に行かないよう、気を付けましょう。

 

 

David Creelman is CEO of Creelman Research, providing writing, research and speaking on human-capital management. He works with a variety of academics, think tanks, consultancies and HR vendors in Canada, the U.S., Japan, Europe and China. Mr. Creelman can be reached at

dcreelman@creelmanresearch.com

 

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